お尻を鍛えても効かないなら骨盤と足元を見る|ヒップトレの質を上げる考え方

骨盤・お尻・足元のつながりを示すヒップトレーニングのイメージ図

ヒップトレをしているのに、
前ももや腰ばかり疲れる。

お尻を鍛えたいのに、
終わると太ももの前側だけ張っている。

この悩みもかなり多いです。

前回の「胸トレが効かない人は胸以外も見る」では、
胸トレが効かない時は胸だけでなく
肩・肋骨・肩甲帯まで見た方が整理しやすい
という話をしました。

ヒップトレも少し似ています。

お尻に入らない時に
「もっと意識する」
「もっと回数を増やす」
の前に見たいのは、
お尻そのものだけではなく

  • 骨盤の位置
  • 足裏の乗り方
  • 股関節の向き
  • 腰で代わりに支えていないか

といった前提条件です。

関連記事:胸トレが効かない人は胸以外も見る
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まず結論

ヒップトレで前ももや腰に入りやすい時は、
お尻をもっと頑張って使おうとする前に、
骨盤と足元の条件を整えた方が変わりやすいです。

お尻を鍛える種目でも、実際には

  • 足裏のどこで支えているか
  • 骨盤が前に倒れすぎていないか
  • 肋骨と骨盤の距離がつぶれていないか
  • 股関節で曲げ伸ばしできているか

が噛み合わないと、
刺激は前ももや腰へ逃げやすくなります。

つまり、
お尻に入らない原因は
「お尻の意識が足りない」
だけではありません。

(参考:ACSM Position Stand: Progression Models in Resistance Training for Healthy Adults

ヒップトレで前ももや腰に入りやすいのはなぜか

お尻の筋肉は、
股関節を伸ばす、
片脚で支える、
骨盤を安定させる、
といった働きと関わりが深いです。

ただ、その前提として
股関節が使いやすい位置にあり、
腰で代わりに反りすぎず、
足裏である程度安定して支えられていることが重要です。

たとえば、ヒップスラストやスクワット系の種目で

  • 足の前側だけに体重が寄る
  • みぞおちが前へ出て腰が反る
  • 膝を伸ばす意識が強くなりすぎる
  • 股関節より先に腰で持ち上げる

といった状態になると、
お尻より前ももや腰の仕事が増えやすくなります。

重さを動かせていても、
狙いがずれることはあります。
だからこそ、感覚だけでなく
どこで支えて、どこが先に動いているか
を見た方が整理しやすいです。

(参考:Contralateral pelvic drop during single leg squat is related to ankle dorsiflexion and hip muscle strength in women but not men

骨盤・足元・股関節で見たいポイント

1. 骨盤が前に倒れたまま頑張っていないか

お尻を使いたいのに腰が先につらくなる人は、
スタート時点で骨盤が前に倒れやすく、
腰の反りで姿勢を支えていることがあります。

この状態では、
お尻を使う前に腰の筋肉が頑張りやすくなります。

2. 足裏が前に流れすぎていないか

ヒップトレで前ももに入りやすい人は、
つま先側に体重が寄りすぎていることがあります。

もちろん、かかとだけで踏めばいい
という単純な話ではありません。
ただ、足裏の前方へ流れすぎると、
膝主導になりやすく、
お尻より前ももの仕事が増えやすいです。

3. 股関節で曲げ伸ばしできているか

お尻を狙う種目では、
股関節が動きの中心にあることが大切です。

ところが、実際には
しゃがむ時に腰から折れる、
持ち上げる時に胸を反って上げる、
といった代償が起きやすいです。

この場合は、
お尻が弱いというより、
股関節で動く前提が少し崩れているかもしれません。

現場で多い3つのパターン

1. ヒップスラストで腰ばかり張る

トップで高く上げようとするほど、
腰を反って終わる人は多いです。

この場合は、
可動域を大きくすることより、
肋骨が開きすぎず、
骨盤が暴れにくい位置で止められるか
を見る方が大切です。

2. スクワットやランジで前ももばかり疲れる

ヒップトレ目的なのに、
終わると太ももの前ばかり張る人もいます。

膝を前に出すこと自体が悪いわけではありません。
ただ、足裏の乗り方や骨盤の位置が合っていないと、
お尻より前もも優位の動きになりやすいです。

3. 片脚種目でバランスばかり取られる

ブルガリアンスクワットや片脚RDLで
お尻よりグラグラする感覚が強い人もいます。

この場合は、
片脚で支える前に
足裏の接地や骨盤の安定が作れていないことがあります。
種目を難しくするより前に、
土台の安定を作る方が近道になることがあります。

先に整えたい見直し順

1. セット前に肋骨と骨盤の位置を整える

胸を張りすぎて腰が反っていないか、
みぞおちが前に出すぎていないかを確認してください。

ヒップトレでも、
上半身の位置はかなり影響します。
軽く吐いて、
腰だけで反らずに立てる位置を探すだけでも、
感覚が変わることがあります。

2. 足裏のどこで支えているかを確認する

つま先だけ、
かかとだけ、
ではなく、
足裏全体で雑に抜けていないかを見る感覚が大切です。

とくに
親指側、小指側、かかと側のどこかが浮きやすい人は、
そのズレが股関節の使い方に響くことがあります。

3. 重さより先に股関節の感覚を作る

最初の数セットは、
重さを追うより

  • 股関節から折れているか
  • 持ち上げる時に腰で反っていないか
  • お尻が働く感覚が少し出るか

を優先した方が変わりやすいです。

4. 種目を一段やさしくする

ヒップスラストや片脚種目で迷うなら、
軽いヒンジ動作、
両脚でのブリッジ、
軽負荷のケーブル種目などに下げて、
狙いが出るかを見るのも有効です。

難しい種目ほど正しい、ではありません。
狙いが出る種目の方が、土台作りには向いていることがあります。

今日からやりやすいセルフチェック

次の4つを確認してみてください。

  1. ヒップトレの前から腰を反って立っていないか
  2. 足裏の前側だけに体重が流れていないか
  3. 持ち上げる瞬間に腰で勢いを作っていないか
  4. 終わった後、お尻より前ももや腰の張りが強く残っていないか

複数当てはまるなら、
お尻そのものより、
ヒップトレの前提条件を整える余地があります。

(参考:Kinematic and EMG activities during squat and deadlift variations in resistance-trained females

読み違えやすいポイント

お尻は強く締めればいい、ではない

トップでお尻を締める感覚が役立つ場面はあります。
ただ、締めることだけを強く意識すると、
腰を反って終わる人もいます。

大切なのは、
どこで動きが始まり、
どこで止まっているかです。

かかと重心だけが正解ではない

ヒップトレでは
「かかとで踏む」が役立つこともあります。
ただ、それを言葉通りにやりすぎると、
足裏の他の支えが抜ける人もいます。

極端な一言で処理せず、
自分の足裏で安定する位置を探した方が現実的です。

可動域は大きければいいとは限らない

深くしゃがむ、
高く上げる、
大きく動かす。
これらは悪くありません。

ただ、可動域を増やすほど
腰や前ももへ逃げるなら、
今はその大きさが合っていない可能性もあります。

よくある質問

Q. ヒップトレでは、とにかくかかとで踏めばいいですか?

A. 役立つ場面はありますが、それだけでは足りません。足裏全体の安定、骨盤の位置、股関節の向きも一緒に見た方が、お尻に入りやすくなります。

Q. お尻が弱いから前ももに入るのですか?

A. そういうこともあります。ただ、弱さだけでなく、骨盤の位置や足裏の乗り方が原因で、お尻が働きにくい状態になっていることも多いです。

Q. どの種目から見直すのがいいですか?

A. まずは一番違和感が出やすい種目からで大丈夫です。ヒップスラストで腰がつらいならそこで、ランジで前ももばかり入るならそこで、位置と支え方を一つずつ見直してください。

まとめ

ヒップトレでお尻に入らない時は、
お尻そのものだけでなく、
骨盤、足元、股関節がどう噛み合っているかを見た方が整理しやすいです。

骨盤を整える。
足裏で支える。
股関節で動く。

この土台があるだけで、
同じ種目でも感覚はかなり変わりやすくなります。

「胸トレが効かない人は胸以外も見る」でお伝えしたように、
狙った部位に入らない時ほど
その部位以外を見る視点が役立ちます。

関連記事:胸トレが効かない人は胸以外も見る
関連記事:反り腰っぽさは腹筋不足の一言で片づけない

お尻に効かないなら、
もっと頑張る前に、
まずは前提条件を整えてみてください。
その方が、ヒップトレは遠回りが少なくなります。

ヒップトレをお尻だけで変えにくい方へ

お尻を鍛えても効きにくい時は、骨盤や足元、身体の支え方まで含めて見直した方が進めやすいことがあります。姿勢・動作・身体の使い方を見ながら、今の身体に合った整え方をご提案しています。

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あわせて読みたい記事

参考文献・参考資料

・ACSM Position Stand: Progression Models in Resistance Training for Healthy Adults: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19204579/
・Contralateral pelvic drop during single leg squat is related to ankle dorsiflexion and hip muscle strength in women but not men: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30367845/
・Kinematic and EMG activities during squat and deadlift variations in resistance-trained females: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31918118/

しょーへい

この記事の著者

しょーへい

姿勢・動作・身体の使い方から整えるパーソナルトレーナー。
筋トレ・ボディメイク・コンディショニング・栄養を中心に、無理なく続けやすい身体づくりの情報を発信しています。