夏の間サボった分を取り返そうとする時|「倍やる」が続かない理由

ベンチに腰かけて一息つく人物の後ろ姿と床のダンベル

夏の間、暑さと予定に流されてトレーニングをサボってしまった。涼しくなってきた今、湧いてくるのは焦りです。「空けた分を取り返さないと」。そして次のジムで、いつもの倍のメニューを組み、限界まで追い込む。数日間ひどい筋肉痛に苦しみ、また足が遠のく。

この「取り返そうとして倍やる→潰れる→また空く」のループは、現場で最もよく見る挫折パターンの一つです。真面目な人ほどはまりやすい、という特徴もあります。

まず前提を確認すると、空いた期間の分をまとめて取り返すことは、体の仕組み上できません。トレーニングの効果は「1回の量」ではなく「継続した頻度」に積み上がるからです。倍やった1回は、2回分にはならず、過剰な疲労と筋肉痛という形で返ってきます。

この記事では、「倍やる」がうまくいかない理由と、焦りを継続に変える考え方をまとめます。再開初回の具体的な重量設定は別の記事で扱っています。

「倍やる」が続かない3つの理由

1つ目は、体が受け取れる刺激に上限があることです。上限を超えた分は成長ではなく、回復に数日かかる過剰な疲労になります。

2つ目は、体験の記憶です。研究でも、運動中や運動後の感情的な体験は、その後の運動の継続に関わることが整理されています。「きつすぎた」「つらかった」という記憶が残るほど、次にジムへ向かう腰は重くなります。

3つ目は、判定基準が「量」になってしまうことです。倍やる日を基準にすると、普通の1回が「足りない日」に見えてしまい、普通に続けることの価値を自分で下げてしまいます。

焦りを継続に変える考え方

1. 「取り返す」を「再開する」に言い換える

過去の空白は変えられません。変えられるのは今日から先の頻度だけです。目標を「先週の分もやる」ではなく「今週の2回を普通にやる」に置き直します。

2. 最初の2週間は「物足りない」で終える

再開直後は、まだやれると感じる手前で切り上げます。翌日に響かない量で回数を重ねる方が、倍の1回より速く元のペースに戻れます。

3. 記録は「今日の分」だけ見る

空白期間を数えたり、以前の記録と比べたりせず、今日できたことだけを記録します。比較対象は「昨日の自分」ではなく「やらなかった場合の自分」で十分です。

フォームは自分では見えにくい部分です。動きを一緒に確認しながら進めるサポートはサービス内容にまとめています。

読み違えやすいポイント

  • 空白は「借金」ではない。まとめ返済という概念自体が体には存在しない
  • 倍やった達成感は、翌週の継続を担保しない。むしろ削ることがある
  • 「物足りない」は失敗のサインではなく、再開期の正解
  • また空いてしまっても、責めるより「再開の1回」を軽く設定し直す

よくある質問

Q. どうしても焦ってしまいます。

A. 焦り自体は続けたい気持ちの裏返しで、悪いものではありません。焦りのエネルギーを「量を増やす」ではなく「予定を固定する」方向に使うと、継続の力に変わります。

Q. 倍やっても平気な体力があればやって良いですか?

A. 体力的にこなせる場合でも、急な量の増加はフォームの崩れや関節への負担を招きやすくなります。増やすなら1〜2割ずつ段階的に、が原則です。

Q. 空いた期間、筋肉はどのくらい落ちていますか?

A. 数週間程度の空白なら、筋力・筋量の低下は思うほど大きくありません。詳しくは連休の空白について書いた別の記事でまとめています。取り返す必要があるほど失われていない、というのが実際です。

まとめ

  • 空けた分の「まとめ取り返し」は体の仕組み上できない
  • 倍やる1回は、過剰な疲労とつらい記憶になり継続を削りやすい
  • 「取り返す」を「再開する」に言い換え、物足りない量で回数を重ねる
  • 焦りは量ではなく、予定の固定に使う

まずは一つ、次のトレーニングを「倍」ではなく「いつもの7割で気持ちよく終える」に設定してみてください。

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参考文献・参考資料

しょーへい

この記事の著者

姿勢・動作・身体の使い方から整えるパーソナルトレーナー。
筋トレ・ボディメイク・コンディショニング・栄養を中心に、無理なく続けやすい身体づくりの情報を発信しています。