風邪のあと筋トレはいつから再開するか|症状の出た場所と初回の量で決める
風邪のあとの再開は、休んだ日数ではなく、症状がどこに出ているかと、初回の量で決めます。首から上だけなら軽く動けますが、発熱やだるさがある間は休み、戻る日は量を半分にします。
見直しの目安
熱は下がったが鼻声と咳が残っている / 3日以上休んで、休んだ分が気になっている / 再開した日に、休む前の重量から始めた / 再開のあとで症状がぶり返した
セルフチェック
今の症状は「首から上」だけか。体のだるさや熱はないか
今日の一歩
再開初日のメニューは、いつものセット数の半分に決めてから家を出る
ジムに持っていくつもりで詰めたバッグが、玄関の脇に置かれたまま3日目になりました。熱は昨日下がり、鼻声と軽い咳だけが残っています。中のウェアは畳んだまま、水筒も空のまま。今日こそ行くか、もう1日様子を見るか。バッグを見るたびに答えが出ないまま、朝が過ぎていきます。
この記事で扱うのは、ふつうの風邪(鼻や喉を中心にした上気道の症状)からの筋トレの再開です。発熱が続く、胸が痛い、息苦しい、動悸がする、咳が2週間を超えて長引く、持病がある、という時は、再開の時期を自分で決めず、医療機関の判断を優先してください。休み明けの初回を軽くする理由はお盆明けの再開は「いつも通り」から始めないで述べた考え方をそのまま使います。ぎっくり腰のあとの戻り方はぎっくり腰の後、運動はいつ再開するかへ。再開の日を決めるのは日数ではなく、症状の場所と初回の中身です。
まず結論
- 症状が首から上だけ(鼻水・鼻づまり・軽い喉の違和感)なら、軽い運動は再開してよい
- 発熱・体のだるさ・筋肉や関節の痛み・胸に落ちた咳がある間は休む。解熱剤で下がった日は「下がった」に数えない
- 再開初日はセット数を半分にし、重量は1〜2段下げる。翌日の体調で2回目を決める
- 症状がぶり返したら、休みに戻る。休んだ分を取り返そうとしない
症状の場所で分ける
1. 首から上だけの時
鼻水、鼻づまり、くしゃみ、喉の軽いいがらっぽさ。体は動くし、食欲もある。この状態なら、いつもより軽い内容で体を動かして構いません。動いた翌日に症状が重くなっていなければ、少しずつ戻していきます。
2. 首から下に症状がある時
体のだるさ、関節や筋肉の痛み、発熱や寒気、胸に響く咳、吐き気。これらが1つでもあれば休みます。体が感染と向き合っている最中に負荷をかけても、トレーニングの効果は積み上がらず、長引く方に転びやすい。休む日数を決めるのではなく、首から下の症状が消えるまで、と決めます。
3. 迷う症状は、受診を優先する
「首の上下で分ける」という目安は、トレーナーやスポーツの現場で長く使われてきたものですが、研究で正しさが確かめられた基準ではありません。鼻水だけのつもりが、動いてみたら熱っぽかった、ということもあります。判断に迷う症状、特に胸や心臓に関わる症状がある時は、自分で決めずに診てもらってください。
軽い風邪の時、運動はどう影響するか
1. 症状の最中でも、運動能力は大きく落ちなかった
18〜29歳の男女45人に、実験的に風邪のウイルス(ライノウイルス)を感染させ、症状がいちばん強い日に運動テストを行った研究があります。感染前と比べて、肺の働きにも、運動中の反応にも、はっきりした差は出ませんでした。鼻や喉の症状だけなら、体を動かす能力そのものは保たれている、と読める結果です。
2. 軽い運動を続けても、症状は長引かなかった
同じ研究グループが、感染させた若い成人を2つに分け、片方には10日間、1日おきに40分、中くらいの強さの運動を続けてもらいました。もう片方は運動なし。症状の重さも、続いた日数も、2つの群で差はありませんでした。軽い風邪の最中に軽く動くことが、風邪を悪化させるという証拠は、この研究からは出ていません。
3. この2つの研究の限界
どちらも対象は若くて健康な人で、症状は実験的に起こした軽いものです。運動の内容は有酸素で、筋トレではありません。発熱や全身症状のある風邪、年齢の高い人、持病のある人には、そのまま当てはめられません。「軽い風邪で軽く動くのは大丈夫そうだ」という範囲で受け取ってください。重い症状の時に動いていい、という話ではありません。
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再開初日の組み方
1. セット数を半分に、重量は1〜2段下げる
休む前に3セットやっていた種目は、初日は1〜2セット。重量は、休む前より1〜2段軽くします。物足りなく感じる量が、初日の正しい量です。初日の役目は刺激を入れることではなく、体が負荷に戻れる状態かを確かめることにあります。
2. 大きい種目を1つに絞る
スクワット、ベンチプレス、デッドリフト、懸垂のような全身に響く種目は、初日は1つだけにします。残りは補助種目を軽く。種目数を減らすと、翌日にどこがどう疲れたかが読みやすくなります。
3. 翌日の体調で、2回目を決める
見るのは、喉の感じ、体のだるさ、寝つきと寝起き、朝の体温。初日の前と比べて悪くなっていなければ、2回目は量を少し戻します。どれか1つでも悪くなっていれば、もう1日あけます。
戻す速さ
1. 1週間以内の休みなら、2〜3回で元のメニューに
休みが1週間以内なら、筋力が目に見えて落ちることは考えにくい。初日を半分、2回目を7〜8割、3回目で元の量、という戻し方で十分です。休みの長さと体の変化の関係は連休でトレーニングが1週間空く時に書いてあります。
2. 2週間以上空いたら、休み明けの考え方で
長引いた風邪で2週間以上あいた時は、「元に戻す」ではなく「もう一度始める」つもりで、1〜2週間かけて戻します。焦って量を戻すと、体調よりも先にフォームが崩れます。
3. ぶり返したら、休みに戻る
再開したあとに喉の痛みや熱が戻ったら、再開は早かったということです。悔しくても休みに戻ります。休んだのに体が重い日の判断は休んだのに体が重い日の筋トレと同じ見方で進めてください。
読み違えやすいポイント
- 汗をかけば早く良くなる、には根拠がない。体を温めた気分になるだけで、症状は短くならない
- 休んだ分を初日に取り返そうとすると、翌日に症状が戻りやすい。取り返す日は、来週にある
- 解熱剤で熱が下がっている日は、下がった日に数えない。薬が切れた時の体温で判断する
よくある質問
Q. 鼻水だけなら、筋トレをしても大丈夫ですか?
A. 鼻水や鼻づまりだけで、熱やだるさがないなら、軽い内容で再開して構いません。ただし「だけ」かどうかを、動く前に一度確かめてください。鼻水だと思っていたら、動き始めて体が重かった、という日は休みに切り替えます。
Q. 風邪で1週間休むと、筋肉は落ちますか?
A. 1週間程度の休みで、筋肉が目に見えて減るとは考えにくいです。重量が落ちたように感じるのは、体調と感覚のずれによるもので、2〜3回で戻ります。休みの長さと体の変化の関係は、連休で1週間空く時の記事に書いたとおりです。
Q. 咳だけが長く残っている時は、どうしますか?
A. 乾いた軽い咳が時々出る程度なら、軽い内容から再開して様子を見ます。胸の奥から響く咳、息を吸うと咳が出る、2週間を超えて続く、という場合は、運動の前に医療機関で診てもらってください。咳が残っている間は、息が上がる強度は避けます。
まとめ
- 再開の日は日数ではなく、症状の場所で決める。首から下に症状があれば休む
- 初日はセット数を半分に、重量を1〜2段下げ、翌日の体調で2回目を決める
- ぶり返したら休みに戻る。迷う症状は受診を優先する
ジムウェアをバッグから出す前に、今日の症状が首から上だけかどうかを、声に出して確かめてください。
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参考文献・参考資料
- Effect of a rhinovirus-caused upper respiratory illness on pulmonary function test and exercise responses: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9140895/
- The effect of exercise training on the severity and duration of a viral upper respiratory illness: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9813869/
- 身体活動・運動の推進(厚生労働省): https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/undou/index.html

