空腹で筋トレをしていいか|食後の時間より当日の体感で決める
空腹で筋トレをしても、研究では1回の総回数も数か月の伸びも、食後に行った場合と差が出ていません。食後何時間あけるかで迷う必要はなく、気分が悪くなる人や長くきつい日だけ、直前に少量を足します。
見直しの目安
食後何時間あければいいか、毎回迷っている / 空腹で行くと途中で力が抜ける気がする / 食べてから行くと胃が重い / 朝トレで何も食べずに始めている
セルフチェック
空腹で始めた日と食べて始めた日で、回数の記録に差があるか
今日の一歩
次の2回、食べたかどうかと総回数をメモして見比べる
トレーニングノートの同じ種目の欄に、先週と今週の記録が並んでいます。先週は仕事帰りに何も食べずに直行した日、今週は夕食をとってから出た日。重量は同じ。回数の欄を見比べても、違いがあるのかないのか、自分でもよく分からない。食べた方がいいと聞いたから食べたけれど、胃が重かったのも事実です。
この記事で扱うのは、筋トレの前に空腹でいいのか、食後どれくらいあけるのか、という判断です。トレーニング前の栄養の基本はトレーニング前の栄養は気合いより準備が、終わったあとの食事は筋トレ後に何を食べるべきかが受け持ちます。糖尿病など血糖に関わる持病がある人は、主治医の指示を優先してください。答えは時計ではなく、自分の記録の中にあります。
まず結論
- 空腹でも食後でも、1回の筋トレでこなせる総回数に差は出なかった(鍛えている人を対象にした実験)
- 12週間続けても、筋肉の厚さ・筋力・パワーの伸びは同じだった
- だから、食後何時間あけるかで迷わなくていい。生活に合う方を選ぶ
- 例外は、空腹だと気分が悪くなる・力が入らない人と、長くてきつい日。その時だけ直前に少量を足す
研究で分かっている範囲
1. 直前の食事で、その日の回数は変わらなかった
筋トレを続けている16人に、トレーニングの2時間前に、糖質の多い飲み物、糖質の少ない飲み物、ほとんどカロリーのない飲み物のどれかをとってもらい、スクワット・ベンチプレス・ロウ・ショルダープレスを限界まで3セットずつ行った実験があります。こなせた総回数は、3つの条件で変わりませんでした。違いが出たのは満腹感だけで、食べた方が空腹感は小さかった。回数で見る限り、直前の食事の有無は結果を動かしていません。
2. 12週間の伸びも、同じだった
若い成人28人を、一晩食べずに朝トレする群と、糖質の多い食事をとって1〜2時間後にトレーニングする群に分け、週2回・12週間続けた研究では、太ももの筋肉の厚さ、ベンチプレスと脚の筋力、パワーの伸びに、群の差はありませんでした。どちらの群も、ふつうに伸びています。
3. まとめた解析でも、差は出ていない
空腹と食後の筋トレを比べた研究をまとめた解析でも、除脂肪量・筋肥大・筋力のどれにも差は見つかっていません。ただし含まれた研究は4本と少なく、うち3本は結果のかたよりが大きいと評価されています。「差がある」とは言えないが、「絶対にない」と言い切れるほどの材料もない、という段階です。
4. 食事で成績が上がるのは、長い有酸素
食事をとってから運動した方が成績が上がる、という結果がはっきり出ているのは、長時間の有酸素運動です。46本の研究をまとめた解析では、長く続ける有酸素では食事が有利に働き、短い運動では差がありませんでした。筋トレは1回あたりの運動時間が短く、体の中の糖質の蓄えで足りる範囲に収まることが多い、と考えられます。
それでも、食べた方がいい人・日
1. 空腹で気分が悪くなる、めまいが出る人
研究の平均で差がなくても、個人の体感は別です。空腹でトレーニングすると冷や汗が出る、手が震える、頭がぼんやりする、という人は、直前に少量を足します。記録の数字より、その日の体感を優先してください。
2. 90分を超える、または高回数で追い込む日
種目数が多い日、1セットの回数が多い日、有酸素を組み合わせる日は、運動の時間が長くなり、研究で調べられた条件から外れていきます。こういう日は、始める前に少量を入れておく方が、後半の質が保ちやすい。
3. 前日の食事が少なかった日、減量中
前日に食事を抜いていたり、減量で食事量を落としていたりすると、体の中の糖質の蓄えが少ない状態で始めることになります。この時は空腹の感じ方も強く出やすい。減量中の空腹感との付き合い方は減量中に米を減らす前ににも書いてあります。
食事だけで調整しようとすると続きにくいこともあります。食事と運動をあわせて整える進め方はサービス内容にまとめています。
足すなら、何を・いつ
1. 直前なら、消化の軽い糖質を少量
バナナ1本、おにぎり半分、ゼリー飲料1つ。このくらいの大きさで十分です。量の正解は決まっていないので、胃が重くならない範囲で、自分の体感で決めます。
2. 1〜2時間前なら、ふだんの食事でよい
トレーニングの1〜2時間前に食事の時間があるなら、特別なものを用意する必要はありません。ごはんと主菜と野菜、という普段の食事が、そのまま準備になります。
3. 脂質の多いものは、直前に向かない
揚げ物やクリームの多いものは、胃に残る時間が長く、動き始めてから重さが出ます。直前に食べるなら、脂質の少ないものを選びます。
自分の答えを出す記録
1. 同じ種目で、空腹と食後の総回数を2回ずつ比べる
メインの種目を1つ決め、空腹で行った日と食後に行った日の総回数を、2回ずつ記録します。重量は同じに。これだけで、自分の体がどちらに寄っているかが見えてきます。
2. 差がなければ、生活に合う方で固定する
差が出なければ、迷う理由はなくなります。仕事帰りに直行する人は空腹のまま、朝に時間がある人は食べてから。生活の流れを崩さない方に固定します。
3. 差があれば、足す側に
食後の方がはっきり回数が多い、空腹だと後半で落ちる、という結果が2回とも出たら、直前に少量を足す側で固定します。それも「食べないとだめ」ではなく、「自分は足した方が回数が出る」という事実として持っておきます。
読み違えやすいポイント
- 空腹で動けば脂肪が落ちやすい、は筋トレの伸びとは別の話で、この記事では扱わない。回数と伸びで見る限り、空腹に特別な利点はない
- 食後すぐは胃が重いから食べない方がいい、ではなく、量と中身の問題。少量の軽いものなら直前でも重くならない
- プロテインを飲めば食事の代わりになる、ではない。満足感の面での限界はプロテインを飲んでも満足できない理由に書いてある
よくある質問
Q. 朝起きてすぐの筋トレは、何も食べなくていいですか?
A. 気分が悪くならず、回数も落ちないなら、食べずに始めて構いません。12週間の研究でも、一晩食べていない朝トレで伸びは変わりませんでした。空腹で頭がぼんやりする、手が震える、という人は、バナナやゼリー飲料のような少量を先に入れてください。
Q. 食後どのくらいあければ、胃が重くなりませんか?
A. 食事の量と中身で変わるので、時間だけでは決められません。ふだんの食事なら1〜2時間、脂質の多い食事ならそれより長く、少量の軽いものなら直前でも重くならない人がいます。自分の胃の感じ方を、何度か試して決めてください。
Q. 空腹で筋トレすると、筋肉が減りますか?
A. 12週間の研究では、空腹の群と食後の群で筋肉の厚さの伸びに差はなく、減ってもいません。それより長い期間や、減量中の厳しい食事制限と組み合わせた場合は、はっきりした研究がないので分かりません。日々の食事全体でたんぱく質とエネルギーが足りているかの方が、トレーニング直前の空腹より影響は大きいと考えられます。
まとめ
- 空腹でも食後でも、筋トレの回数と伸びに差は出ていない。食後何時間、で迷わなくていい
- 気分が悪くなる人と、長くきつい日だけ、直前に少量を足す
- 自分の答えは、同じ種目で2回ずつ比べた記録で出す
次の2回は、記録の欄に「食べた・食べていない」を書き足し、総回数を見比べてください。
食事と運動をまとめて整えたい方へ
食事の調整だけで進めにくいときは、体の使い方とあわせて見直す方法があります。オンライン(全国対応)または横浜駅周辺の対面で受けられます。まずはLINEの友だち追加で、今の進め方を無料カウンセリングでご相談いただけます。いきなりの契約や勧誘はありません。
あわせて読みたい記事
参考文献・参考資料
- Isoenergetic Pre-Exercise Meals Varying in Carbohydrate Similarly Affect Resistance Training Volume Performance Compared to Placebo: A Crossover Trial: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40029149/
- Impact of Overnight Fasted State Versus Fed State on Adaptations to Resistance Training: A Randomized Clinical Trial: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40335157/
- Resistance training performed in the fasted state compared to the fed state on body composition and strength in adults: A systematic review with meta-analysis: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41316673/
- Effects of fasted vs fed-state exercise on performance and post-exercise metabolism: A systematic review and meta-analysis: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29315892/
- International society of sports nutrition position stand: nutrient timing: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28919842/

