重量と回数の記録だけでは足りない|伸びが見える記録項目の設計
重量と回数は結果の記録。伸びた理由・止まった理由を説明するには、きつさ・体調・動画という条件の記録を足します。
見直しの目安
記録はあるのに停滞の原因が分からない / 調子の波が読めない / フォームが変わったことに後から気づく / 記録を見返す習慣がない
セルフチェック
先月の停滞した週について、「なぜか」を記録から説明できるか
今日の一歩
今日のメイン種目に、RPE(あと何回できたか)を1つだけ書き足す
1年分のトレーニングノートを見返してみる。数字はずっと並んでいるのに、伸びた月と止まった月の違いが、どこにも書かれていない。重量と回数は確かに記録した。でも「なぜ」だけが、どのページにもありません。
重量×回数は、いわば試合結果です。スコアだけ並んだ記録から敗因は読めないように、結果だけの記録から停滞の原因は読めません。読めるようにするには、結果の隣に条件を書く必要があります。
何を書き足すと伸びが見えるのか。項目の設計から考えます。なお「効果は痛みではなく記録で見る」という前提の話は筋肉痛と効果の記事で書いた通りで、この記事はその続編、「では記録に何を書くか」です。
まず結論
足すのは最大4項目。書く時間はセット間の30秒で足ります。
- きつさ(RPE):そのセット、あと何回できたか
- 体調メモ:睡眠と疲労を丸バツ程度で
- 動画:月1回、メイン種目の最終セットだけ
- 種目ごとの独自指標:高さ・深さなど、その種目の質を表す1つ
重量と回数だけで困る場面
停滞した時、結果の記録は「止まった」ことしか教えてくれません。原因が重量設定なのか、睡眠不足の週だったのか、フォームが少しずつ変わったのか。この区別がつかないと、対策は当てずっぽうになります。逆に、条件が書いてあれば「止まった週は全部睡眠バツだった」のような発見が、見返すだけで拾えます。減量中に重量が落ちた時の判断も、絞ることと保つことを分ける記事で書いた通り、記録の文脈があって初めて成立します。
足したい記録項目
1. きつさ(RPE):あと何回できたかの数字
同じ「80kg×8回」でも、余裕の8回と限界の8回は別物です。「あと2回できた」なら RPE8、のように1つ数字を添えるだけで、結果に濃度がつきます。感覚がつかめるまでは「余裕・普通・限界」の3段階で十分です。
2. 体調メモ:丸バツで十分
睡眠と疲労を、セッションの頭に丸バツか一言で。「睡眠×」の3文字が、1か月後の自分への最高の申し送りになります。長文の日記にしないことが、続く条件です。
3. 動画:月1回、最終セットだけ
フォームの変化は本人がいちばん気づけません。毎回撮る必要はなく、月1回、メイン種目の最終セットを同じ角度から。3か月分並べると、数字に出ない変化が見えます。
4. 種目ごとの独自指標
種目によっては、重量より質を表す物差しがあります。懸垂なら「どこまで引けたか」(懸垂の記事で書いた目・鼻・顎・胸の4段階)、スクワットなら深さ、カーフレイズなら止まれた秒数。自分のメイン種目に1つだけ、独自の列を作ります。あちらが種目特化の実例で、この記事はその設計図側です。
フォームは自分では見えにくい部分です。動きを一緒に確認しながら進めるサポートはサービス内容にまとめています。
続く記録のコツ
項目は最大4つまで。それ以上増やすと、記録が目的化してトレーニングの邪魔になります。書くタイミングはセット間の休憩で、その場で。後でまとめて書こうとした記録は、たいてい書かれません。そして完璧を求めないこと。全項目そろった日が週に2回あれば、見返す価値のある記録として機能します。
読み違えやすいポイント
- 記録は手段。項目が増えすぎて休憩が延びるなら本末転倒
- 毎回全項目を埋めようとしない。メイン種目だけ、が現実的な運用
- 数字が伸びている時期は記録が退屈になるが、効くのは止まった時。やめない
- 体重や見た目の記録はまた別の柱。両方そろうと判断はさらに正確になる
よくある質問
Q. アプリと紙、どちらがいいですか?
A. 続く方が正解です。目安として、動画と併用するならスマホのアプリかメモ帳が一元化しやすく、セット間に開く習慣も作りやすいです。
Q. RPEの感覚がつかめません。
A. 最初は誰でもつかめません。「余裕・普通・限界」の3段階から始めて、数か月かけて数字に移行すれば十分です。ずれていても、自分の中で一貫していれば比較の役には立ちます。
Q. 動画は毎回撮った方がよくないですか?
A. 毎回撮ると見返さなくなります。月1回の定点観測の方が、変化が見えて続きます。フォームを直している時期だけ頻度を上げる、という使い分けがちょうどいいです。
まとめ
- 重量×回数は結果。伸びを説明するには条件(きつさ・体調・フォーム)の記録が要る
- 足すのはRPE・丸バツ体調メモ・月1動画・種目の独自指標の最大4つ
- セット間の30秒でその場で書く。完璧は求めない
- 記録が本当に効くのは、止まった時。退屈な時期こそやめない
今日のメイン種目のセット間に、まず「あと何回できたか」を一言書き足してみてください。
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参考文献・参考資料
- American College of Sports Medicine position stand. Progression models in resistance training for healthy adults: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19204579/
- 身体活動・運動の推進(厚生労働省): https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/undou/index.html


