ぎっくり腰の後、運動はいつ再開するか|再開の目安と最初の一歩
ぎっくり腰の後の運動は、日数ではなく、日常の動きが戻ったかどうかで再開を決めます。戻す順番は、歩く、自重の動き、軽い負荷です。
見直しの目安
痛みはほぼ引いたが、再開が怖い / いつから運動していいのか分からない / 以前と同じメニューに戻そうとしている / 過去に、再開してすぐ痛めたことがある
セルフチェック
寝返り、起き上がり、靴下を履く動きは、身構えずにできているか
今日の一歩
今日は、痛みが増えない範囲で少し長めに歩き、夕方に腰の状態を確かめる
動けなかった数日が過ぎて、痛みはほとんど引いた。靴下も履けるし、仕事にも戻った。ただ、ジムのことを考えると手が止まります。またあの痛みが来たらと思うと、バーに触るのが怖い。
怖さは、もっともな反応です。一方で、怖いからと長いあいだ動かずにいると、体力が落ち、腰を支える力も落ちて、次の痛みを呼び込みやすくなることがあります。
はっきりさせておくと、診断と治療は医療機関の領分です。脚のしびれや、力が入らない感じがある。排尿や排便の様子がいつもと違う。熱がある。じっとしていても強く痛む。こうした場合は、運動の話をする段階ではなく、受診が先です。通院中の方は、再開の時期を担当の医師に確認してください。ここで扱うのは、痛みが落ち着いた後の、運動への戻り方に限ります。
まず結論
- 再開の合図は日数ではなく、日常の動きが身構えずにできるかどうか
- 戻す順番は、歩く → 自重の動き → 軽い負荷
- 以前の重さには、すぐに戻さない。最初の数回は、物足りないくらいで
- 痛みが強くなる、しびれが出るといった変化があれば、中止して相談する
じっとしているより、動ける範囲で動く
急な腰痛に対して、ベッドで安静にするよう勧めた場合と、できる範囲で普段の活動を続けるよう勧めた場合を比べた研究のまとめでは、痛みの強さに差はなく、日常の動作の回復は、活動を続けた方がわずかに良いという結果でした。腰痛についての各国の診療指針も、普段の活動や運動へ戻っていくことを支える方向でそろっています。
ただし、これは「痛みを我慢して運動する」という意味ではありません。できる範囲で普段の生活を続ける、ということです。トレーニングの再開は、その先にあります。
再開の目安
医師から運動の制限が出ていないことを前提に、次の3つを見ます。
1. 日常の動きが、身構えずにできる
寝返り、起き上がり、靴下を履く、床の物を拾う。痛みがないだけでなく、怖がらずにできるかどうかを見ます。
2. 歩いても、痛みが増えない
普段より少し長く歩いてみて、その日の夕方と翌朝に痛みが増えていなければ、次へ進めます。
3. 一日の中で、悪くなっていかない
朝より夕方の方がつらくなる状態が続くうちは、まだ負荷を足す時期ではありません。
戻す順番
1. 歩く
最初の運動は、歩くことです。時間を少しずつ延ばし、速さは後から足します。
2. 自重の動き
仰向けでの呼吸、四つ這いでの小さな動き、椅子からの立ち座り。腰を支える感覚を取り戻す段階です。腰の支え方の考え方は、腰が張りやすい人は腰を伸ばす前に支え方を見ると合わせて読むとつながります。
3. 軽い負荷
重りを持つ時は、以前の重さよりずっと軽いところから始めます。休み明けの最初の1回を軽くするというお盆明けの再開の考え方がそのまま当てはまり、痛めた後であればなおさらです。
姿勢や動きのクセは自分では気づきにくいものです。クセを一緒に確認しながら整えていく進め方はサービス内容にまとめています。
しばらく避けたい動き
- 反動をつけて、床から物を持ち上げる
- 起きてすぐの、強い前屈
- 痛みが残っているかを確かめるために、同じ動きを何度も繰り返す
3つ目は、やってしまいがちです。確かめるほど不安が強まり、腰にも余計な負担がかかります。
繰り返さないために
運動を取り入れた取り組みで腰痛の発生が少なくなったことが、複数の試験をまとめた分析で報告されています。痛めた後に運動をやめてしまうより、軽いところから戻して続ける方が、長い目で見た備えになります。
読み違えやすいポイント
- 痛みがゼロになるまで何もしない、が安全とは限らない
- コルセットや湿布で痛みが隠れている間に、以前の重さへ戻さない
- 再開した日に調子が良くても、判断は翌朝まで待つ
- 腰を反らすと楽になる人は、その楽さに頼りすぎない。腰を反らすと楽に感じる人へを参考に
よくある質問
Q. コルセットは、いつまで着けていればいいですか?
A. 着ける期間は、処方した医師に確認してください。運動を再開する時に外してよいかどうかも、あわせて聞いておくと安心です。
Q. ストレッチは、していいですか?
A. 厚生労働省の腰痛予防の指針では、急な腰痛で痛みがある時期や、回復の途中で痛みが残っている時期のストレッチングは、実施するかどうかを医師と相談するよう書かれています。痛みが残っているうちは、自己判断で強く伸ばさないでください。
Q. 以前と同じ重さに戻せるのは、いつですか?
A. 日数ではお答えできません。軽い重さで、痛みも怖さもなく何回かのトレーニングを終えられたら、少し足す。その繰り返しで戻していきます。戻る速さには個人差があり、急ぐ理由はありません。
まとめ
- 再開の合図は日数ではなく、日常の動きが身構えずにできること
- 歩く、自重の動き、軽い負荷の順に戻す
- しびれ、強まる痛み、排尿や排便の異常は、運動より受診が先
明日の朝、靴下を履く動きが身構えずにできるかどうかを、再開の最初の目印にしてください。
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参考文献・参考資料
- The Cochrane review of bed rest for acute low back pain and sciatica: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11074682/
- Prevention and treatment of low back pain: evidence, challenges, and promising directions: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29573872/
- Exercise for the Prevention of Low Back Pain: Systematic Review and Meta-Analysis of Controlled Trials: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29053873/
- 職場における腰痛予防対策指針及び解説(厚生労働省): https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000034et4-att/2r98520000034mtc_1.pdf


