ベンチプレスで胸より腕に効く時|手幅・下ろす位置・軌道の順で見直す
ベンチプレスで胸より先に腕が疲れる時は、手幅、下ろす位置、軌道の順に見直します。肘の曲げ伸ばしが大きいフォームほど、腕の仕事が増えるためです。
見直しの目安
セット後に張るのは二の腕の裏 / 胸は余裕があるのに腕が先に上がらなくなる / 手幅を一度も測ったことがない / 脇をしっかり締めて押している
セルフチェック
バーを胸まで下ろした時、前腕は床に対して垂直か。それとも内側へ傾いているか
今日の一歩
次のベンチの日、軽い重量で下ろした位置を横と正面から動画に撮り、前腕の傾きだけを見る
ベンチプレスは胸の種目であると同時に、腕の種目でもあります。バーを押し上げる動きの後半は、肘を伸ばす上腕三頭筋が受け持っているからです。腕に効くこと自体は、おかしなことではありません。
気になるのは配分が偏っている場合です。胸にはまだ余力があるのに、二の腕の裏が先に限界を迎えてセットが終わる。これが毎回続くなら、フォームのどこかで、肘の曲げ伸ばしの仕事が必要以上に大きくなっています。
胸に入りにくい理由を、肩や肋骨、肩甲骨のあたりまで広げて見る話は、胸トレが効かない人は胸以外も見るの記事で済ませました。ここから先は、ベンチプレスという種目の中だけの話です。見直す場所は3つあり、順番にも意味があります。
まず結論
- 手幅:狭いほど上腕三頭筋の働きが大きくなる傾向がある。まずここを測る
- 下ろす位置:下ろした時に前腕が垂直になる位置を探す
- 軌道と肘の向き:脇を締めすぎると、腕で押す形に寄る
- 3つを直しても変わらなければ、種目の順番と重量を見る
1. 手幅
狭い手幅は、腕の仕事を増やす
手幅を変えた時の筋肉の働きを調べた研究では、広い手幅から狭い手幅へ移るほど上腕三頭筋の活動が高まり、胸の筋肉の一部は活動が下がる傾向が報告されています。別の研究でも、広い手幅は、中間や狭い手幅より三頭筋の活動が低い結果でした。ナローベンチが腕の種目として使われるのは、この性質によるものです。
ただし、どちらの研究でも差はそれほど大きくありません。手幅だけで胸と腕の配分ががらりと変わるわけではなく、最初に確かめやすい項目、という位置づけです。
目安は「下ろした時に前腕が垂直」
バーを胸に下ろした位置で、正面から見て前腕が床と垂直になる幅。ここが出発点になります。前腕が内側へ倒れているなら、手幅が狭い。握る位置を左右とも指1〜2本分ずつ外へずらして、もう一度確かめます。
広げすぎには別の問題がある
腕に効かせたくないからと極端に広く握ると、今度は肩の前側に負担が集まります。肩が前に詰まる感じがある人は、肩が前に詰まりやすい人の記事を先に見てください。
2. 下ろす位置
手幅が合っていても、下ろす位置がずれると肘の角度が変わります。首に近い位置へ下ろすと肘が大きく開き、みぞおち寄りへ下ろしすぎると、肘が体に寄って深く曲がる。後者は、腕で押す距離が長くなる形です。
横から見て、下ろした時に前腕が垂直に立っている位置。体格で変わりますが、胸のいちばん高いあたりから少し下に落ち着く人が多い印象です。手首の真下に肘がある形なら、バーの重さは肘の曲げ伸ばしより、腕全体を押し出す動きで受け止められます。
フォームは自分では見えにくい部分です。動きを一緒に確認しながら進めるサポートはサービス内容にまとめています。
3. 軌道と肘の向き
脇を締めすぎていないか
肩を守るために「脇を締めて」と教わった人は多いはずです。間違いではないものの、体にぴったり付くほど締めると、動きはナローベンチに近づきます。上から見て、上腕が体にぴったり付かず、真横にも開ききらない位置。開きすぎず、締めすぎずの中間です。
押し始めで肘が先に伸びていないか
底から切り返す瞬間に、胸で押し出すより先に肘を伸ばそうとする癖があると、序盤から三頭筋に頼ることになります。軽い重量で、底で一瞬止めてから押す練習をすると、押し始めの順番を確かめやすくなります。
それでも腕が先に疲れる時
種目の順番を見る
前日に腕の種目をやっている。あるいは同じ日に、ベンチの前にディップスやショルダープレスを入れている。三頭筋が疲れた状態で始めれば、フォームが合っていても腕が先に終わります。
ダンベルプレスで確かめる
ダンベルは手幅と軌道を自由に選べます。ダンベルなら胸に入るのにバーベルだと腕、という人は、バーベルの手幅か下ろす位置が体に合っていません。ダンベルでの肘の位置を、バーベルに持ち帰ってください。
読み違えやすいポイント
- 腕に効くことは失敗ではない。ベンチプレスでは三頭筋も主役の一人
- 「胸に効いている感覚」だけを基準にしない。感覚は日によって変わる。動画で前腕の角度を見る方が確実
- 手幅を一度に大きく変えない。指1〜2本分ずつ
- 手首が痛む場合は握り方の問題で、手首が痛い時の記事の内容が先になる
よくある質問
Q. ナローベンチとの違いは、どこにありますか?
A. 手幅を肩幅前後まで狭め、脇を締めて行うのがナローベンチです。三頭筋を狙う種目なので、腕に効くのが正解になります。通常のベンチプレスで同じ感覚になっているなら、気づかないうちにナロー寄りのフォームになっている可能性があります。
Q. スミスマシンでも、同じ考え方でいいですか?
A. 手幅の考え方は同じです。軌道が固定されるので、下ろす位置はベンチを置く場所で決まります。軽い重量で下ろし、前腕が垂直になる位置までベンチを前後させてから始めてください。
Q. バーの目印(81cmライン)は、どう使えばいいですか?
A. 毎回同じ手幅で握るための目印として使います。ラインに対してどの指を置くかを決めておけば、手幅の再現性が上がります。ラインに人差し指を合わせるのが正解、という決まりはありません。体格で変わります。
まとめ
- 腕が先に疲れるのは、肘の曲げ伸ばしの仕事が大きいフォームになっている合図
- 見直す順番は、手幅、下ろす位置、軌道と肘の向き
- 共通の目安は、下ろした時に前腕が垂直であること
- フォームが合っていても変わらなければ、種目の順番を見る
次のベンチの日、最初のアップのセットだけ正面から動画を撮り、前腕の傾きを見てください。
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参考文献・参考資料
- The influence of grip width and forearm pronation/supination on upper-body myoelectric activity during the flat bench press: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16095407/
- The Effect of Grip Width on Muscle Strength and Electromyographic Activity in Bench Press among Novice- and Resistance-Trained Men: https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34198674/


